施設長挨拶

 卒業生、保護者、地域や全国にお住まいの支援者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 2021年度はコロナ感染をはじめ、様々な試練にさらされながらの一年でした。そのような中でも、シオン園では朝のひととき、オンラインを駆使しながら皆で祈りの時を持ち、試練の意味を考え、祈る時間が与えられていたことは、何よりの恵みであり感謝でした。
 1年前の名簿を見ていたら、2021年の春にいた子ども達の4分の1が卒業や自宅復帰でシオン園を去っています。この子どもたちの長い人生の中で、シオン園はどのような意味を持つのでしょうか、どんな印象をもって巣立っていったのでしょうか。願わくば、理念の中にある「寄り添ってもらった」「支えてもらった」「応援してもらった」「願って(期待して)くれた」とおもえる思い出が残されていたらと祈ります。
 今年は児童福祉法が改正されます。そのため、子どもの意見表明権を支援するアドボカシー活動が、各自治体の責任として事業化されることになりました。その背景には、子どもの権利の浸透と同時に、「言えなかった、」「言わなかった、」「思いとは大きくずれていた」社会的養護体験者の苦い思いがあります。私達の「良かれ」「やったつもり」「気づかなかった」が、中には大きな傷を残した方もおられたと思います。また、職員の思いが届いていない、彼らの気持ちとは大きくかけ離れている事実もあったことでしょう。それらを振り返り無駄にせず、子ども達の「自分らしく生きる」を、一緒に模索していく努力を、重ねていく所存です。
 現在、意見箱や苦情受付委員が活発に活動していますが、どのように対応すればよいのか、回答すればよいのか、寄り添えばいいのか、私達職員もわからずに苦しんでいます。子ども一人一人への対応と同時に、子ども達と一緒に施設を作る方向性をどのように生み出して行けばよいのか、迷いながらの毎日です。5月28日付け西日本新聞に、「一番つらい所に徹する心、そこから見ると世の中のウソと本当がよく見える。己の芯で生きる」(組坂繁之、「出会い、思い合い」より引用)と書かれた文章が目に留まりました。私たちは、つらさを抱えた子ども達が、世の中の本当を見抜く力を身につけられるように、つらさから目を背けたり、向き合ったりする歩みに寄り添い、少しづつ、自分の芯で生きるように焦らず待てばよいのだと思いました。
 最後になりましたが、児童だけでなく職員にとっても、シオン園での経験が自分自身の「芯」を意識する時になるよう、なれるように取り組んでまいります。今後とも、ご指導方、よろしくお願い申し上げます。

2022年06月21日